柳生書道教室の考え

柳生暢春書道は、1500年の歴史を持つ日本の伝統文化です。
小中学校、高校においてもその学習が求められており、多くの日本人は学校で書道を学びます。
でも、学校の書写の授業だけで字がきれいに書ける人はほとんどいません。

字を美しく書けるようになるためには、字が上手になりたいという気持ちを忘れず、学校以外でもしっかり練習をすることが大切です。

「書」には、実用と芸術の二つの側面があります。

実用としての書道は、日常生活において文書や手紙など「日本語を書く」ことを意味します。最近ではパソコンやスマートフォンで文字を打ち込みコミュニケーションをとることが多くなり、文字を書く機会は減っています。それでも、自分の住所氏名を書いたりサインをすることもありますし、ちょっとしたメモなどは手書きです。
そんなとき、美しく書かれた文字を見ると、その人の育ちの良さや教養の高さを感じることがあります。履歴書は手書きで行いますが、このことは書かれた内容だけではなく書いた人の人間性をそこから読み取る意味もあります。手書きの論文試験も、読む人の気持ちになれば、きれいな字で書かれた文書に対する評価は高くなることが容易に想像できます。

芸術としての書道について、中国の書家閔祥徳(びん・しょうとく)は、その著書の中で、「芸術としての書法(書道)においては、漢字の造形原理をふまえつつ、生き生きとした描写を心がけ、感情の動きに従って造化(大自然のあり方)に思いをはせながら、約束事を突破して自らの世界を創造しなければならない。自己の感情を表現することによって、芸術的魅力と美を字の気勢と厳しい風格のうちに表現し、観る者に強く訴えかけるのである。」(出典:マール社「書法用語百問百答」)
と記しています。すなわち自分の感情の発露、表現力など精神性の追求が重視されます。

柳生書道教室では、芸術としての書を主として毛筆のおけいこの中で修得していただき、実用としての書は、硬筆・ペン字のおけいこで学んでいただくよう考えています。